第31章 セシル×OL
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翌朝
「…っ……っ!!…」
ぼやぁっとした視界の中で
柔らかな声が聞こえる。
「○○っ!!」
その声の主がセシルくんであることに気づいて目を覚ます。
『セシル…くん?』
私の顔を心配そうに覗き込んで
手を握るその優しい瞳に吸い込まれそうになる。
「……っ、○○っ…//」
名前を呼ぶと
ギュッと抱きしめてくれる。
『どっ、どうしたの?』
2度目のセシルくんは
ひどく甘えてきて、驚いた。
「いえ…その…
とてもうなされていて…呼吸も荒かったので…心配で。」
あ、そうだ….私、べろべろに酔っちゃって
一ノ瀬くんに…で、セシルくんが家にいて…
『う、あぁぁっ!!
ご、ごめん。迷惑かけちゃったね;;;』
あとで一ノ瀬くんにもお詫びしないと。
窓の外をみると日が昇り始めたばかりだった。
「いえ。迷惑ではありまセン…」
セシルくんはそう言ってくれたけど、
なんだか浮かない顔をしていた。
『会社いく準備しなきゃ!
セシルくんも学校?』
「あ、いえ…今日は少し体調がよくなくて…」
『あ、そっか…
大丈夫なの?』
「ハイ、
体調がよくないと言っても、
猫化の制御ができなくなっているだけデス…
体自体の調子は絶好調なのデスが…」
『あ〜…なるほど…それは家にいなきゃだね!
うちにいてもいいけど、どうする?』
(音也くんと話してた体調悪いってのも
そういうことだったんだ…)
私は少し納得して、
身支度をはじめながらセシルくんに尋ねる。
「あ、えと…とてもありがたいのデスが…
家に帰って調べたいことがあるので、今日は帰りまス。
また、夜にきてもいいデスか?」
申し訳なさそうな…照れ臭そうな…感じでそう聞いてくるセシルくんに、
『当たり前だよっ!!』
と、答える私。
(だって、彼氏だし…//)