第31章 セシル×OL
カランカラン…
「いらっしゃいませ〜、あっ、こんにちは!」
いつものように春歌ちゃんがお出迎え。
『こ、こんにちは。』
なんだか、その綺麗な瞳を見ることができない。
後ろめたい気持ちになってしまう。
8歳も下って、犯罪じゃないよね?
向こう20歳だし。
しかも、「ワタシたち、付き合っているんデスよね?//」
とか、可愛い顔で聞かれちゃったりなんかして…
はぁ…
夢みたい。
私騙されてないよね!?
てか、誰にもセシルくんが彼氏だー、なんて紹介できないよー。
いや、セシルくんは悪くないんだよ?
悪いのは私のこの歳!
と、世間体を気にするこの頭!
『はぁ〜…』
「ため息、5回目ですよっ?
そういえば、猫ちゃんは元気ですか?」
いつもの特等席に案内してくれた春歌ちゃんが私の顔を覗き込む。
『うわぁ!!
うん!、元気です!元気!』
「…??
○○さん、何かありました?」
『う、ううん。
今日も…オススメのやつで。』
「…?………はい…。」
なんだか納得していないような顔で厨房へと向かう春歌ちゃんの後ろ姿を見送って
『はぁ…』
机に突っ伏す。
**
会社に戻ってもその雰囲気は続いて
『はぁ…』
「どうしたのですか?
いつも楽しそうな貴女がため息なんて珍しい…」
と同期の一ノ瀬くんが声をかけてくれる。
『あ、ううん。
なんでもないの…』
「…………そうですか。」
少し悲しげな表情をする一ノ瀬くんをみて
『…う…』
ってなる。
だって、8歳も年下の男の子と初対面でsexしちゃって、彼氏になりました。って
どう考えてもおかしいって言われる。
友千香なんて絶対騙されてる!って言うもん。
もんもんと頭の中で格闘していると
「それなら…今日、私の愚痴に付き合ってくれませんか?」
と、一ノ瀬くんが言う。
あまりの脅迫的な笑顔に、
『あ、うん。』
頷くしかなかった。
一ノ瀬くんとは仲が良い方で、会社の愚痴や趣味の話はよく一ノ瀬くんとしてる。
まぁ、私、無趣味な女なんですが。