第30章 レン×吸血鬼
俺の目に飛び込んできたのは…
「ジュル……コンニチハ…レン…。
いや、はじめまして…デスね」
『レ……ン……』ガクン
彼女の血で口元を真っ赤に染めた吸血鬼と
彼女の息絶える瞬間だった。
「…レディ?………レディ!!!?
お前………」
「…吸血鬼は血を吸う鬼デス。
アナタもたくさんの人を殺してきまシタ。
睨まれる筋合いがありまセン…」
俺はさっと、ベッドの上からレディを奪い
俺の腕の中へ抱きしめる。
「……っ…なんで、っ
なんでこの子だったんだ!!?
お前は俺の街で満足していただろう!!」
「ふっ……かつて美女を堕とす天才と呼ばれた少年を虜にした女性が、どんな味なのか試したかっただけデス。」
「そん…そんな……理由で……?」
(俺の……せい?)
俺はどんどん手の中で冷たくなっていく彼女を
ぎゅっと抱きしめる。
ごめんよ…俺のせいで…
俺がいなければ…っ
ポタポタと彼女の頬に俺の涙が落ちる。
泣く資格なんて俺にはないのに…
「もう、ここに用はありまセン
ワタシはもう行きマス。」
ベッドのそばで泣き崩れる俺に吐き捨てるようにそう言って、
窓を開けてさっしに足をかける吸血鬼。
俺はそいつを睨みつけて威嚇する。
「まぁ、そう嫌わないで…
あ、最後に一つ。
ワタシの血は美味しかったでスカ?」