第30章 レン×吸血鬼
コンコン…
『はーい…?』
ガチャ…
私はレンかと期待しながら
その扉を開いた。
「…コンニチハ。」
『…???』
けれど、そこにいる人は
私の知っている人ではなかった。
「ワタシ…レンの友達のセシルと申しマス。
レンがこちらにいると聞いて来たのデスガ…」
最初は警戒したけど、
レンの友人だと聞いてホッとした。
セシル……待っている人ってこの人のことなのかな?
(って、何考えてんの、私…//)
『あ、どうぞ。
こちらへ、上がってください。』
「……ありがとうございマス…」
私は気づかなかった。
この時、セシルさんがキラリと目を光らせ、フッと笑みをこぼしたことに。
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ダイニングで向かい合うようにしながら
レンのことを詳しく聞く。
(…ってことは、まだレンは家に帰ってないんだよね?)
私はセシルさんの話を聞きながらもレンのことを心配していた。
まさか吸血鬼に………??
いや、そんなまさか。
だって吸血鬼は美女を狙ってるって…
完全にセシルさんそっちのけで頭を抱えていると
「…っ、??…○○っ??
聞いていまスカ?」
と、名前を呼ばれる。
『あっ、ごめんなさい…
なんでしたっけ?』
「…ワタシは、今世間を騒がせている吸血鬼がレンだと思っていマス。
だから、ワタシは彼がここに逃げ隠れているのではないかと…考えていマス」
『……?はい?』
信じられないことを話すセシルさん。
「彼はあのジュースをよく飲んでいた…
今朝の新聞で、被害者は全員あのジュースを買いに行っていたらしいのです。」
『あの…ジュース…』
「ハイ。ヴァンパイヤジュースのことデス」
『で、でもそれだけで彼が吸血鬼だとは…』
「…ワタシはみたのデス。
彼は女性の首筋あたりに噛み付いて血を吸ってイタ。」
『…!!!?…そんな……』
だとしたら、なぜ私は助かったの?
レンが吸血鬼なんて、絶対嘘よ。
この人、本当にレンの友達なの?
俯いてシーン…とする私にセシルさんはニィッと笑って
「それにワタシ、アナタの秘密も知っていマス。」
ゾクッ
そう言って彼は立ち上がって
私に近づいてきた。
(この人…何者なの…
怖い……)