第30章 レン×吸血鬼
それから、数分経って
彼女をパッと離す。
真っ赤な顔を隠すように俯いて黙ってしまう彼女。
(はぁ…レディ…そんな顔をしないでくれ…忘れられなくなってしまう。)
「そうだね、レディ…
そろそろ帰らないといけない…
今までありがとう…。
明日の朝にはここを出るよ…」
『っ、!!?
…う、うん………』
急な話で驚いたのか、
さっきの雰囲気ならずっと居てくれると思っていたのか
少し傷ついた顔をするレディ。
ごめんね…レディ。
そして、
『また会える…??』
と、俺の袖を掴む。
(……//////)
心はグラグラと揺らいでいるけれど、
未来の彼女を傷つけたくないから、あえて厳しい台詞を選んだ。
「残念だけど、それは無理だよ…
俺はもうここへは来ないし
君も街へは来ない方がいい。
俺たちはもう、….」
『……そ、っか………』
今にも泣きそうな顔をする彼女にかける言葉が見つからなくて
俺は、グラスをさっさと片付けてベッドに入った。
今夜が最後の夜…
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『レン…おやすみ……ちゅ…』
夜中少し目が覚めた気がしたけど、
多分俺の都合のいい夢。