第30章 レン×吸血鬼
あれから3日が経ち、
彼女の畑仕事の手伝いにも慣れてきた頃…
食欲を抑えるために毎日のようにあのレストランにドリンクを買いに行き、毎日のようにあの血と何かの混合液を飲み続けていた。
『ほんと、それ好きだねぇ…』
くるくるとグラスをまわし香りを楽しむ俺に毎日そう言う彼女。
呆れたような…
子供を見るような…
そんな暖かい目で俺を見てくれていた。
(そういえばもうすぐクリスマス…
彼女に何か…って、彼女にそんなものあげてどうするんだろ…俺。)
最近自分の思考がおかしい。
ずっと一緒にいるのに、少しでも彼女と離れると無性に会いたくなる。
あと3日経てば彼女の血でようやく自分の中を満たせるのに。
そんなことしなくて済むように、こんなドリンクを飲み続けてる。
(俺は何を……)
彼女は、俺が真剣に悩んでいる様子をみて
心配になったのか、
『レンは…まだ家には帰らなくていいの?
もし、私のこと手伝わないとっていう義務感とかで居るんだったら、いつ帰ってもいいからね?
私は一人でも大丈夫だから…
お家に誰か待ってる人がいるんでしょう?』
と、何やら変な勘違いをしながらも慰めてくれる。
(違うよレディ…俺もいつだって一人だった…。
君といるのが義務感…?違う。
俺は君と離れることができなくて、悩んでるんだ…)
こんなことを口にすることが
なかなかできなくてもどかしくなって
「っ…//」
ぎゅぅ…
『ふえっ!?!?////』
彼女を力強く抱きしめる。
驚いた顔でさえ可愛くて、大好きだ。
でも、俺は美しい女性の血を飲まなければ生きていけない…
それが彼女を傷つけることになるかもしれない…
俺に残された選択肢は1つだ。
この気持ちを…早く忘れること。
俺はごちゃごちゃと考える頭の中をかき消すように
彼女を抱きしめ、彼女を俺に刻み込んだ。
(今日だけ…)