第30章 レン×吸血鬼
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『お待たせ〜』
着替えを終えてダイニングチェアに座る俺の目の前にコト…と置かれた皿には
おいしそうなシチュー…
「……//」
『ワインも飲むよね?』
そう言って俺用のグラスと自分のグラスをキッチンから持ってくる。
「いやいや、レディにはお酒は早いんじゃないかな?」
俺はニッコリと彼女に言う。
『は……?なぜ?』
すると、彼女は本気で不思議そうな顔をする。
その返事に戸惑いながら
「え?…いや、まだ子ども…」
と言うと
『いや、誰が子どもや…!!』
と、俺の言葉を最後まで聞かず
グラスを机に置いてビシッとチョップする彼女。
「えっ…?」
こちらが本気で不思議そうな顔をすると
肩をフルフル震わせながら
『これでも25ですが?』
と、言われる
「え、…え?」
まさかの歳上ですか…?
(※吸血鬼は人間とほとんど同じ寿命なのです!!
食べるものが違うだけ!!)
『……もう!!失礼ねっ!!』
プンプンと音がなりそうな顔で怒る彼女に
俺はハッとして
「あっ、ごめん…レディ…
あまりにも君が純粋な眼差しをしていたから…俺はてっきり無垢な少女なのかと…
…け、決して見た目で判断したわけではないんだよ?…」
と、苦し紛れの言い訳をする。
(まぁ、大抵のレディはこうやって良いように言えば騙されて…)
『ほんとうは?…』
「ぅえ?」
彼女はムスッとした顔で俺に詰め寄る。
『ほんとうは、どうなの?』
今までのレディたちは簡単に丸め込めてたんだけど…
彼女は例外みたいだ。
じとーっとこっちを睨みつける彼女に
「っ……ごめん。
俺、レディの見た目で子どもだと思っちゃった…。」
素直にぶちまけると
『……ん。正直でよろしい。』
と彼女はそう言ってふっと笑って
『…早く食べよ?
せっかく作ったのに冷めちゃう』
なんて言って許してくれた。
「……//」
なんか彼女のペースだなぁ…
こんなの初めてだよ…///
俺は今まで女の子を悦ばせる努力ばかりしてきた。
自分の掌で転がして上手く事を運び、
自分に近づきすぎる者は排除してきた。
なのに…
(自分が転がされてる…)
『ん…?
なんで笑ってんの?』
「クス…なんでもないよ?」
それから2人でシチューを食べながら
お互いの話をした。
もちろん、俺は正体を隠して。