第30章 レン×吸血鬼
レンside
「レディ…遅いな…」
暗くなった外を見ながら
布団の中で彼女の帰りを待つ。
まさか、もう他の吸血鬼に殺されたんじゃ…
心配と不安と恐怖の入り混じった感覚にとらわれていると…
『ただいま〜!!』
彼女の元気な声が聞こえた。
ほっ…
「ほっ…?……」
なんだろう…安心?…したような…
まぁ、餌が無事帰ってきたんだ。当たり前か。
俺は「お帰りー。遅かったね?」
と、ベッドから起き上がりパツパツのパジャマで彼女のもとへ向かう。
『久々の街ではしゃいじゃった。
ごめん、遅くなって…』
「…//」
(はしゃいじゃった…って、かわいい//)
「そっか…というか、たくさん買ってきたね…;;」
『うん。レンに似合いそうなの、選んだから。』
「俺は何でも似合うよ…」
『あはは、確かにそうかも笑』
袋を一つ一つ開けながら
2人で会話を楽しんだ。
(なんだか、初対面の感じがしないな…
すごく彼女といると落ち着く…)
俺はこの感情が特別なものであることに
まだ気がつかなかった。
「ん?なに、この袋…?」
少し長細い紙袋が目に入る。
服…ではないね…
『あ、これは…その、興味本位で買っちゃったんだけど』
中から出てきたのは…
「"ヴァンパイヤジュース"??」
赤黒いワインのような液体の入ったビンだった。
『吸血鬼をモチーフにしたレストランがあってね、
そこに売ってたから、買ってみたの…
ワインだと思うんだけど…』
そのレストランの話を少し聞いてから
俺は着替えを、彼女は夕食の支度を始めた。
"ヴァンパイヤレストラン"…
俺が街にいたときはまだ無かったのにな…
俺はシャツのボタンをしめながら
そのレストランについて少し考えていた…