第30章 レン×吸血鬼
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「ありがとうございました。」
店員さんが店先でペコリと深くお辞儀をするのを背に
買い物袋をたくさん抱えた私は帰ろうとしていた。
シャツとパンツとズボンと靴下と靴…
たくさんの買い物袋。
重いな…なんて思いながら
久々に人間と関われたことに喜びを感じていた。
思えば私は生まれた時から1人だった。
私が生まれてすぐに両親を亡くし、
2人の顔すら知らない。
(ほんと、どうやって生活してきたんだろ…)
物心ついたときには、もう動物たちと暮らしていた。
自然の仕組みを教わり、植物の育て方を教わった。
だから、お金を使うことはほとんどない。
こうやってたまに街に出てきては、体の成長に合わせて新しい服を買う。
私の収入は0。両親が残してくれた貯金を切り崩して使っている。
まぁ、ほとんどお金かからないけど。
ていうか、3年前の服着てるって…
『はは…。』
身長伸びないなぁ…
少し流行は変わっているけれど、
やっぱり、レンの着ていたような服をきている人はほとんどいない。
『……この国の人じゃないのかな…』
すると、掲示板に貼ってある新聞が目にとまった。
"またも、ヴァンパイヤ出現!!これで31件目"
と書かれていた。
『ヴァンパイヤ…吸血鬼か…
まだそんなものが…。』
私は、少しその新聞に目を通してから、
(ヤバい、もうこんな時間…
暗くなってきたし、早く帰らないと!!)
と走り出した。
すると、なにやら広告が頭に張り付く
『うわっ!?……ん?
"ヴァンパイヤレストラン"…?』
それは、なにやら不謹慎な名前のレストランの広告だった。