第28章 トキヤ×チアガール
いよいよ、リレーが始まります。
外では冷静を装っていますが、
内では結構熱いものが滾っています。
絶対勝つ!
この言葉を胸に、今、音也との真剣勝負です。
幸いこちらは最後が翔ですから、
四ノ宮さんの眼鏡が飛ばない限り勝機はあります!
「トキヤー、悪いけど勝つのはおれたちだよ?」
「フッ…すいませんが、
今日の私はあなたの知っている私ではありませんよ?
今回は私たちSクラスが優勝させていただきます。」
「珍しく燃えてるね〜、そうこなくっちゃ。」
"それでは、よーい どん‼︎"
勢いよくなる鉄砲の音と火薬の匂い。
私は音也に追い抜かれないよう必死に走ります。
ダダダダダダダ
砂煙りがまい、
会場も興奮状態。
私たちはかなり競ってはいますが、
やはり、音也の運動能力には敵いそうもありません。
しかし、離されないよう一定の距離を保ったまま走り続けます。
「はぁ…はぁ…」
息が苦しくて、頭で何度も正しい呼吸を思い浮かべても
全くその通りにはなりません。
はやく、終わって欲しい。
そう思ってしまう己を恥じ、
彼女のことを思い浮かべては、自分を奮い立たせます。
まだ第一走者なのに、
かなりの盛り上がりです。
やっと、レンの姿が見えてきて
自分のすべきことをやり遂げれたか自分に問います
まだ、やれますよね…
その答えを胸に、更に加速してようやくレンにバトンを渡せます。
「レン‼︎
必ず勝てと翔に伝えてください」
「ハハッ、イッチー…ほんとに君は…
まぁ、りょーかいっ‼︎」
黄色い声援を横目に聖川さんにぐんぐん追いつくレン。
でも、もう少しで抜かせるというところで
翔とバトンタッチ。
翔は私をチラッとみてガッツポーズを決めます。
レンからの伝言、伝わったようですね…