第28章 トキヤ×チアガール
「うぉおおおおおお‼︎‼︎」
翔が四ノ宮さんを追いかけて
一瞬にして追い抜きます。
しかし、
「あっ、翔ちゃん‼︎
僕も負けませんよ〜、待って〜‼︎翔ちゃ〜ん♪」
「ぅげっ⁉︎⁉︎
那月のヤロー、全力でおいかけてきやがる。
でも、
だてにお前から毎日逃げてるわけじゃ
ねーっつの‼︎‼︎」
四ノ宮さんの加速に順応して
自らも加速する翔。
毎日追いかけられるの、辛かったんですね…
全員が暖かく見守る中、
翔はかなり四ノ宮さんと距離をあけてゴール‼︎‼︎
なんだか、不思議な戦いでしたが勝ったんですね…
ホッと胸を撫で下ろしていると
「□□っ!!!!」
ギュッ
と翔が□□さんを抱きしめている光景が見えます。
「…………はい?」
…なんですか、これは。
翔は、
「勝ったぜ‼︎
俺たち優勝だぁぁ‼︎」
と、彼女を抱きしめたままピョンピョンと跳ねます。
□□さんも、
『ほんとですね‼︎
よかったです‼︎優勝‼︎』
と少し、興奮気味。
プチッ
私の中で何かが切れる音が聞こえて
そのまま
□□さんの腕を掴み、ズンズンと歩いていきます。
『い、一ノ瀬さん⁉︎⁉︎
あ、あの…』
不安がる彼女に見向きもせず
一直線に進んでいく私。
「…」
怖がらせてすいません。
でも、あなたが悪いんです…
**
「やっと、自分に素直になったな。」
□□とトキヤの背中を見つめながら
あくびをする俺。
「あぁ。これもおチビちゃんのおかげだね?」
こう言って、なんでも見透かして
ニヤニヤと笑うのは同じクラスのレン
「うるせぇ、
この役俺に得がなさすぎだろ。」
俺はリレー前にこいつに
優勝したら同じクラスの□□に抱きつけって言われたから
その通りにしたのに
結局は
「まぁ、そう言わないの。
友達のためだろ?」
こいつの"面白いコト"に付き合わされただけらしい。
「…まぁそうなんだけどさ…」