第28章 トキヤ×チアガール
「やっと俺たちの出番かよ~」
翔がそう言って大きく伸びをします。
私は、
「私は第一走者なのでここで…」
と立ち止まります。
「あ、俺もこっちだわ…」
翔もとまり、
「俺だけ、あっちか…」
とレンはグラウンドの逆サイドを見ます。
すぐにいくかと思いきや
「ちょっと、おチビちゃん…?」
と何やら二人で内緒話。
全く、早くしてほしいものです。
「うえぇ!?!?何でだよ!?」
「そんなの…ごにょごにょ…」
「あ、あぁ…なるほど…そういうことか…」
「そうそう、だから
おチビちゃんは…ごにょごにょ …だよ?
分かった?」
「うーーん……
とりあえず了解っ!!!ダチのためだもんな!任せとけ」
「クスッ……頼りにしてるよ?」
「おうっ!」
やっと終わったようですね。
何を話していたか少し気になりましたが
それどころではありません。
私は彼女のためにも
このリレーで勝たなくてはなりません。
相手は音也…油断できませんね。
私がスタート地点で構えていると
女子が、散らばって応援してくれるようで移動しています。
その様子を見ていると不意に○○さんと目が合います。
ドキッ…///
そして、
『一ノ瀬さん!頑張ってください!』
とガッツポーズをされます。
私は浮かれてガッツポーズしてしまいそうになりましたが、
なんとか自分を抑えて
「えぇ。必ず優勝してみせます。」
と冷静に言います。
はぁ…なんてかわいくないのでしょうか…
私も音也みたいに
「みんなぁー!
絶対勝つからね!応援ありがとねぇー!」
なんて、笑顔を振りまいてみたいものです。
はぁ…
最近の悩み、ですね…
翔もほかの男子生徒に
「お前らぁー!
気合い入れて応援しろよー‼︎‼︎」
なんて熱くなってます。
この感じ、すごく好きなのですが、
私だけ取り残されているようで…
少し寂しいですね…