第4章 レン×メイド
「レディ…??」
『さっきの、別れる…の、
なしにしてくれるの?』
別れ話をした直後に
襲いかかっているのだから
パニックになるのも当然だ。
俺の袖をぎゅっと握る手が
震えているのが分かる。
「どうだろうね…?」
と意地悪く
曖昧な返事をすると、
『…っ、やっぱり、
レンくんは…私みたいなのより、
綺麗なお姉さんの方がいいのっ…??』
涙を流しながら
突拍子もないことを言う。
言いたいことは分かる。
色んなレディを相手にしていた俺だ。
彼女も不安だったのだろう…
彼女が俺を好きでいてくれたなら
めちゃめちゃに優しく
抱いてあげたくなる台詞だ。
こんな気持ちをグッとこらえて
「レディこそ、
俺より聖川の方がいいんだろ?」
最大限に強がる。
こんなこと聞くなんて、
かっこ悪いよね。
でも、彼女は
『へっ!?!?なんでですかっ!?!?』
だって。
自分が悪者になりたくないが為の演技なのか?
さっきの聖川の話をした時のレディの態度をみれば
誰だってそう思うに決まってる。
と呆れてものも言えないでいると、
彼女が、
『わ、私には
レンくんだけですよ…ぉ…//』
と、潤んだ瞳でみつめてくる。
(うっ…//可愛い//
が、騙されるな!俺!)
心臓をキュッと掴み
平常心を保とうとする俺。
そしてこう続ける。
『今日だって、
聖川くんと課題やってて、
集中しなきゃいけないのに
レンくんのことばっかり考えちゃって
全然はかどらないし…//』
と、顔を赤らめながら
まくし立てるように話す彼女。
(え?なんだって?)
『聖川くんには
会いにいけって気を遣われちゃうし////』
(…//)
『ここに向かう途中も
せっかくの別荘での休日なのに
私の自己満足で会いに来ちゃって
迷惑じゃないかな…なんて悩んだりして…』
(そんなことを…//)
そうか…だから
課題の話の時に顔を赤らめたのか…///
話していてどんどん涙目になっていく彼女に
申し訳なくなってくる。