第27章 日向×スク水
「お前…」
顔を上げようとしない私に
少しため息をつくと…
林檎先生に
「わりぃ、少し…
二人にしてくれ。」
と言った。
「任せてもいいのね?」
と聞いたあと
林檎先生は少ししてから
その場を去っていった。
ゴクッ…
緊張が身体中を伝って
冷たい汗が出る
ドクンドクンと脈打つ心臓がうるさくて
何も聞こえなくなる。
すると、
カツ…
と先生がこちらに一歩近づく足音だけが鮮明に聞こえた。
コツ…と
私も一歩後ずさる。
カツ…
コツ…
カツカツ…
コツコツ…
カツカツカツ…
コツコツコ…ドンっ
!?!?
私は知らない間に壁に追い込まれてしまった。
『っ…』
いますぐ走り去ってしまいたい。
だけど、
そんなこと
許してもらえそうにない。
ドンッと壁に手をつかれて
逃げ場を塞がれる。
普段だったら
壁ドンだぁ~!!なんて喜ぶんだけど
そんな気分にはさすがになれない。
それでも俯いたままの私を
無理に顔をあげさせることは龍也くんはしなかった。
そして、そのまま
私に聞いてきた。
「俺のこと…嫌いになった…よな…」
『!!!???』
驚いて顔をあげる私の目には
すごく悲しそうな、
でも、すごく強い眼差しが飛び込んできた。
私はフルフルと頭をふり、
泣きそうになるのを必死に抑えた。
すると、龍也くんは
「俺のせいだ…」
と自分を責め始めた。
私は『ち、違うよ…私が悪いの…』
と言った。
だって、本当に
龍也くんは関係ないもん。
「俺が、俺が…
お前を守んなきゃいけねぇのに
林檎の言うとおり
変な見栄でカッコつけて
お前のこと全然見てなかった。」
すごく悔しそうな顔をする
龍也くん。
私はそっと彼の頬に触れて
『龍也くんのせいじゃないから…』
と言った。