第22章 蘭丸×スポーツユニ(後編)
あとは自分で聞きなさい
って顔をされたから
何も聞けないまま
さよならをした。
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『ただいまー。』
「お帰り~!
お姉ちゃん!なにもされなかった!?
無事!?」
『え、う、うん。』
「なんか、さっき、変な人が
うちの前にいてさ…
一瞬驚いた顔して
去ってったの…
もう、気持ち悪いっ!!」
『華絵こそ、大丈夫だったの??』
「うん。すぐ、家に戻ったから…
それより、明日の花火
一緒にいかない?
今日、彼氏と別れちゃってさ…」
『またー?
大事にしなよー;;;』
「だってぇ~;;;
(お姉ちゃんの悪口言うんだもん!!!)」
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花火大会当日
『華絵ー?まだー?』
「ごめん、先いっててー!」
『もぅ…
神社の木のところいるからね!』
「OK!」
カランカラン
下駄の音がそこら中で鳴ってる
家族連れもおおいけど、
なぜか私の目に飛び込んでくるのは
幸せそうなカップル達。
『…』
私も、蘭丸先輩を
怒らせてなかったら
一緒にここにこれてたのかな…
それとも、
やっぱり七海さんのところへ
行かれてたのかな…
華絵との待ち合わせ場所で
脱け殻みたいに
ずっと、ボーッとしていた。
「ちょっと、そこの
おねぇさん……」
背後から近付く
怪しい影に気づかずに……