第13章 音也×保健室の先生
『一番一十木さんが保健室に来てくれましたから……
最後にお別れを言おうと思って…』
そうやって
俺を突き放す先生は目をあわせてくれない。
「……」
俺は先生の話が終わるまで待つことにした。
俺の気持ちは
後でゆっくり話せばいい、
『昼休み…一十木さんが
その扉をガラッと開けて
飛び込んでくる毎日…
本当に楽しかった。
告白も……
ありがとうございます。
こんな私を好きになってくれて…
毎日幸せをくれて…。』
少し、先生の声が震えてくる。
『でも、
一十木さんには
素敵な未来があります。
10歳も上の私なんか
すぐに忘れちゃいます。
それでいいんです。
一十木さんはとても
優しい人だから、
もっと相応しい人が現れますから…
ですから……
さよなら……です…。』
涙を流す先生の唇を奪って
抱き締めたい気持ちを
必死に押さえながら
俺は聞く。
「先生…それだけ……?」
涙を拭いながら
『へっ?』
と驚く先生。
「先生の言いたいこと…
それだけなの?」
賭けに出る俺。
「それだけ?」
『そ、それだ…ッ…け……っ……』
一向に目をあわせようとしない
先生の頭を両手でそっと掴んで
「こっち見て…せんせ…
こっち見て言って。」
『っ…!!!//』
見れないとでもいうように
目をギュッと閉じる先生。
でも、ゆっくりと
瞼を開いていく……
「先生……」