第3章 自炊担当してます。
『忠君、ありがとう…もう大丈夫だから…戻っていいよ?』
山口「いや、でも…」
『忠君…!女子トイレに入る訳にはいかないでしょ!』
女子トイレ前に、目がすごい腫れていてブサイク極まりないであろう私と忠君が言い争っている。
ごめん、迷惑かけてさらに変な誤解招きそうなシチュエーション…。
山口「そうですけど…でも、瑠璃さんが心配ですし…」
忠君…なんて良い子なんだろう…こんな面倒くさい私を心配してくれるだなんて…。
『でも、本当大丈夫だから。顔洗うだけだし!』
山口「じゃあここで待ってます」
『え?』
山口「ここで待ってますから、顔洗って来てください」
『…忠君?』
山口「トイレに籠って泣こうと思ってるんですよね?嬉し涙なのにトイレに籠って泣くなんてもったいないですよ」
山口「トイレに籠って泣くなんて、女の人がするもんじゃないですよ!男だけで十分です!お、俺でよかったら…その…胸貸します…!」
『忠君…』
いつも背の高いツッキーの横にいるからあまり思わなかったけど…忠君、背が高い…。忠君、何センチだっけ。たしかツッキーは188㎝だった気がするから…
山口「あ、あの瑠璃さん…?」
『ご、ごめん…!ちょっとぼーっとしてた…』
山口「いや、俺もいきなり変な事言ちゃってすいません…」
『変なこと…?』
忠君変なことなんて言った?
山口「えっと…胸、貸します…とか…」
『あぁ!そんなの変じゃないよ!本当は借りたいけど、後輩君に迷惑かけられないしね!…もうかけてるけど』
背の高い人の胸を借りてわんわん泣けると思うと…それはかなり魅力的だけど…!そんな甘いシチュエーションは私には似合わない!
『よし!顔洗って来るから!ここで待っててくれる?』
山口「…大丈夫ですか?」
『うん!忠君のおかげで泣き止みました、ありがとね!』
山口「いや、俺は何も…」
『忠君のおかげだって!じゃあすぐ戻って来るから!』
山口「あ、瑠璃さん待って…!」
『すぐ戻るから!』
…そして顔を洗って忠君が私を呼び止めた理由が分かりました。
『タオル持ってくるの忘れた…』
その後、濡れた顔のままトイレから出ると忠君が慌ててタオルを持って来てくれました。