第8章 決断の段
「はい…私が白と思うのは2つあります。」
指を2本見せる
「1つ目は、彼女の変装です。深夜で彼女を相手した先生方なら分かって貰えると思いますが、今まで小柄の男の身なりで過ごし、それで任務をこなそうとした。だが、今回の事で諦めもあるだろうですが変装を解いて見せた。普通ならくノ一のまま任務をこなす筈と私は思います。」
「確かに、土井先生の意見は私も分かります。女が男の身なりで任務とは体力的にも精神的にも数日で堪えます。なのに、ずっとだったなら余計ですね。」
私の意見に補足するように山本シナ先生が言ってくれた
流石はくノ一教室担当で変装名人。
「そして、2つ目は危害を加えないという現れの行動です。彼女は、私と新野先生と山田先生と学園長の前で自らの左手の甲を斬り付けたのです。」
私とあの場にいた3人が顔を合わせ頷くと、驚きの声などが聞こえてきた
私は言葉を続けた
「自ら傷付けるのは疑うのに難しいと思います。」
「忍術のやり方の一つではないのですか?谽谺(かんか)か袋翻し(ふくろがえし)とか…」
またも安藤先生の言葉に軽く睨む
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谽谺(かんか)の術→味方を裏切り、敵方に寝返ったように見せかける術。
袋翻(ふくろがえ)しの術→敵に取り入り、味方と信用させておいて、ここ一番という大切なときに裏切り、大きな損害を敵に負わせる術。
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少し溜め息をつき冷静さを失わないようにしながら
「ありえません。」
「その自信を伺ってもよろしいですか?」
戸部先生の質問にゆっくりと瞬きをして
「彼女と相対した時…そして変装を解いた時…分かったのです。」
その場にいる全員を見渡し
「彼女は助けを求めてる目をしていた。新野先生の闇という表現で更に確信したのです。」
言葉にするのは難しい
難しいけど……
君を見捨てるなんてしない!!
彩さん