第7章 再会と心の段
温かくて、優しい味付け
そこまでお腹が空いていた訳ではないのに、お粥を完食した。
「美味しかった……ご馳走様です。」
手を合わせ、片付けをした土井先生から湯呑みを渡された。
ジッと湯呑みに入っている薬湯を見つめる
「毒なんて入ってないよ。痛み止めと化膿を防ぐ薬湯だ。」
私の考えが分かったのか、土井先生の言葉に土井先生を一度見つつ、薬湯を一気に飲んだ
苦味はあるも確かに毒なんて無い。
粉っぽさが少し残っていたのか軽く咳き込むと、土井先生が背中をポンポンと優しく叩いてくれた。
「ありがとう…ございます……」
「どういたしまして。」
沈黙
(何を話したら良いのだろう。)
ご飯を食べて、薬湯を飲んだのだから話をしてもいいのだが…何を話したら良いか分からないのが現実
目が合わせ辛く無意識に下を向いてしまう。
「……彩さん」
名を呼ばれ、パッと顔を上げる
土井先生は優しさの笑みは残しつつも真剣な目をしていた。
「なんでしょう……」
「今朝の私と君との接点を山田先生に聞かれただろう?」
(山田先生?……あぁ、利吉さんの父で髭男の…)
山田先生の顔を思い浮かべ、今朝の事も思い出した。
「色街というのは不服でしたか?」
「いや……」
「なら、何にも問題はありませんでしょう?何故、その様な顔をするのですか?」
土井先生の顔は悲しそうになっていた。