第7章 再会と心の段
彼……
違う…彼女…
(手紙なんて書ける訳ないよな。)
自室にて机の上にある授業に関する書類を見つめるも内容なんか入って来ない。
山田先生との相部屋なのに1人なのを良い事に溜め息をつく。
「大きな溜め息だな。半助」
聞こえた声に肩を揺らして振り返ると、障子を開いて入って来た山田先生
「山田先生……見られてましたか。」
頭を掻きながら苦笑してみせると、山田先生はフゥと溜め息をつき胡座で座りながら
「彼女の事を考えていたのだろう。」
「……っ…」
「バレバレだよ。それに彼女の言った君との会った内容も嘘なんだろ?」
出したくないのに、また溜め息が出てしまう
「山田先生は何でもお見通しですね。」
「分かるよ。えっと…彩と言ったかな。利吉から聞いたが、自らの正体を明かす事は今までないらしい。」
仕事があるのでと学園を出た利吉くんの話に驚いた。
「え?そうなのですか?」
「まぁ、利吉とは敵対してた城同士だったからかもしれないが、利吉が見るには……」
ー 絶対味方だと思うのですが、仲間が近付いても一緒にいるのを嫌がる素振りを見せてて。話をせずに無視してその場から立ち去るのを見たことあります。 ー
「そうですか……なら何故、今回……」
「それは分からない。だが、あの娘の目……半助も分かっているのだろう?」
山田先生の言葉に頷く
彼女は起きてから直ぐに話をし正体を明かした。
表情は出来ていたが……
目は……
全てを諦めたような寂しい瞳だった。