第1章 出会いの段
「お姉さん!凄い!!」
少年の尊敬なのかよく分からないキラキラとした目に苦笑しながら
「別に凄くないわ。少し演技をしただけよ。」
「でも、凄い!俺、ヤバイと思ったけどお陰で助かったよ!これ!」
差し出された山菜の束を見て
「そういうのは良いわ。別に山菜が目的じゃないもの。」
「あ、そう?」
断わって、すんなりと受け入れた少年は山菜を箱に戻す。
普通、もう少し押すものだけど……
まぁいっか。
「ところで、いつもあんなのがいるの?」
「いんやー。久しぶりに絡まれたよ。いつものように商売してたから気が抜けちゃってさー。」
「そう。危ないんじゃない?」
「危なくても!稼ぐんだよ!銭をね〜!」
一瞬、銭の目になっていた少年
そんなに稼ぐのが好きなのかしら
「でも、今日は商売は止めておきなさい。お家へ送るわ。」
「え!?悪いよ!」
「遠いの?」
「いや、遠くないけど…」
「なら、決まりね。」
私は少年を送って行くことにした。