第1章 出会いの段
どの大人も見てるだけとはね……
野次馬から見えた始終を理解した私は黙った少年を放ってなんて出来なかった。
声を出し、野次馬から抜けて
少年に近寄り頭を撫でる
理解出来てない少年の言葉をシッと言い、ウィンクをしたら少年は理解をしたのか頷いてくれた。
(物分かりの良い子ね)
「ねぇちゃんよー。なんだ?いきなり」
「あら…」
少年を私の後ろに隠れさせ相手を見る。
山賊……では無いみたいね。
「何って、この子の雇い主ですよ?今、責任者がどーのって言っておりませんでした?」
心配そうに見上げる少年の頭をもう一度撫でながら言うと、男達はハッと笑い
「こんな綺麗なねぇちゃんが餓鬼の雇い主か?なら、大人は大人で話そうか?なぁ?」
下品な笑い方で仲間の男達に言いながら、1人の男が私の肩に手を回そうとするも……
グッ
「いてぇ!!」
男の手首を軽く捻り痛めさせ、男は直ぐに私から離れる。
「下世話な方を相手してるほど、私達はヒマではないのです。まぁ…ヒマな方々は沢山いらっしゃるみたいですけど?」
言いながら周りの野次馬を見ると、蜘蛛の子を散らすように野次馬達は消えていく
(無責任ね…)
「テメェ!女だからって承知しないぞ!?」
怒った男達は私に手を上げながら大声を出す
ため息をついた私は周りから男達の方を見た。
いや……
睨んだというのが正しいわね。
男達がビクッとしたのを見逃さず
「別に…承知しなくてもいいですよ?出来るなら…」
殺気を少し出しながら言った瞬間
「すみませんでしたぁ!!!ご自由に!!!!」
言いながら走って逃げてった男達を見て、ふぅと一呼吸
振り返るとキラキラと目を輝かせてる少年がいた。