第6章 正体の段
「それで何処まで聞いてるか分からないけど……貴方と…そして、土井先生。」
白装束の男を指差し、次に土井先生を指差す。
「私の正体分かってるでしょ。」
そう言うと、土井先生は俯き、白装束の男は苦笑しながら頷いた。
「どういう意味じゃ?説明せい。」
「こういう意味ですよ。」
と同時に自分の頭を掴みバサッと取る。
長い黒髪を揺らし、肌は空気が触れる。
髭の男と大川は、あんぐりと口を開けていた。
「んーっ……顔の筋肉が疲れてる。」
自らの頬を摩りながら呟く
「ま、まさか……君は……」
髭の男の言葉に微笑み
「お…「女性です。」」
私が答えるより先に土井先生が答えた。
全員が土井先生を見る。
「新野先生は分かるが、半助…何故、この人を知ってる。」
多分、白装束の男=新野先生は校医なのは私でも分かった。
髭の男の問いかけに少し俯き黙った土井先生を見た私は……
「私が声を掛けたんですよ。」
「「えっ?」」
私の言葉に4人が私を見た。
一番驚いてる様子の土井先生と軽く目を合わせるも、髭の男を見つめて
「前に任務でこの姿を使う時がありました。まぁ、長らく低い声を使っている今とは声が違いますが……」
「声を掛けたとはどういう意味じゃ。」
大川の言葉に溜め息をつく
「女子には秘密にしたく、殿方なら人生で一度くらいは、お世話になる場所があるのではないですか?」
ジッと4人を見ると…
大川、髭の男、新野は考えがついたのか顔を紅くする。
「まぁ、土井先生は私の色気より買い物でしたけどね。」
「なっ!?」
髪を整えながら言う私に土井先生も赤くなった。
「…って、呼び込みだけの私には目もくれないのは当たり前ですよね。」