第6章 正体の段
「お主の目的は?」
「貴方の暗殺……でも、動けない怪我にしようと思ってはいた。場所が学園なんて示しが悪い。」
軽く頭を掻くと短い髪が触れて頭巾は無いと分かった。
「ほぅ……自信あるのじゃな。」
「その道で生活してますからね。まぁ、これで大仕事は損になりましたが肩の荷が下りました。」
「その意味……詳しく聞きたいのぅ……」
視線を前から左側にいる大川を再度見つめ
「知るには………今の私が死ななきゃなない。」
ザシュ!!
その場にいる私以外の全員が驚いた。
無理もない。
隠し持っていた苦無で自らの左手甲の傷を開いたのだ。
「何をしてるんだね!君は!」
白装束の男の怒り口調に手で制し、懐から手ぬぐいより一回り小さめの白布を出して左手甲に染み込ませる。
「ちゃんと身体検査したと思うけど……これは見つからない苦無だからね。」
血が滲んだ白布を取り、手当てを始めた白装束の男に任せつつ、動く右手で苦無を3人の方に投げ、布は懐にしまった。
「この布は指定の場所に置けば、私の雇い主…いや、元だな?そこに送られる。血が付いてる時点で手負いのフリーという意味でね。苦無は預かってくれて構いません。もう武器も無いし抵抗する意味もなくなった。」
そう話してる内に白装束の男の治療の手際の速さのお陰で、包帯を巻かれた左手が解放された。