第3章 それぞれの段
「えぇ!?彩さん行っちゃうの!?」
朝方
悪いと思いながらも半助達の家に行き、仕事へ行くことを伝えた。
半助さんはもう起きていて私服だったが、きり丸君は寝間着のまま私に抱きつく
「いきなりでごめんなさい。急な仕事が入ったと連絡があったの。」
「あと少しいたかったのに……」
「きり丸!彩さんを困らせたらダメだろ?」
きり丸君の頭を撫でる半助さんと目が合うもお互い困った笑みを浮かべた。
しゃがみ、きり丸君と同じ高さになった私は抱きしめる。
「あ……彩さん?」
「楽しかったわ。また会えたら遊んだり、お話したり、バイトもしてくれるかしら?」
「…も、もちろん!」
少し声が震えてるきり丸君を気付かないふりをし、きり丸君の背中をポンポンと優しく叩く
「嬉しい……そしたら、私…仕事頑張れそう。」
ゆっくりと離れて涙目のきり丸君の頬を触れる
「あら?大丈夫?」
頷きながら目元を腕で拭くきり丸君に微笑み
「こんな素敵な保護者がいるのだから、安心しなさいね。」
「彩さんは?一人で平気なの?」
「えぇ…」
立ち上がり両手を腰に当てる。
「私は大人よ?だから大丈夫。」
私の言葉に笑顔を見せたきり丸はバイト行かないとと言い出し、中へ準備の為に入ってった。