第2章 平和の段
自分の部屋に戻るも寝ずに気配を消す
隣の二人の気配が休んだものと分かった時にはもう夜中の時間だった。
町から離れた森を少し入った時、一つの気配に走っていた足を止める。
「もう良い。出てこい。」
普段は使わない口調で話すと、背後に人影があるのを月光で分かった。
「相変わらずの完璧な女装だな?彩也」
ふと目線を横に向けると同時に私の肩に腕を乗せた男の忍
銀髪に黒眼で細身、灰色で霰小紋装束の男
男がいる左側に向け隠し持っていた苦無を出し
「触れるな。男に興味はない。銀波(ぎんは)」
「ほう?その割には、長屋の男と仲良くしていたじゃないか?」
銀波の腕から離れ振り向くと同時に睨む
「覗きか?趣味が悪いな。」
「見えちゃったんだよねー。ほらそんな怖い顔してると、女装が崩れちゃうよ?」
顎に手を触れようとする銀波の手を払い睨んだまま
「世間話をするなら部下にしろ。迷惑だ。」
「世間話?…違うよ。」
私を軽く笑い、真剣な目で見てくる銀波
「仕事だよ。彩也。6日後までに城に来い。」
言ったと同時に目の前を消えた銀波はあっという間に気配が遠のいた。
あーぁ。
また面を被るのか。
平和はすぐ終わる。
終わりたくなかったのに……