第2章 平和の段
「おや!姉ちゃんまた来たね!」
魚売りのおじさんの声に微笑み
「えぇ、食べ盛りの人が2人いますから。これとこれ頂けます?」
「あいよ!!」
あれから、二週間が経とうとしていた。
一緒に食事をと誘って下さった半助さん。
バイトも一緒と懐いてくれるきり丸君。
そんな二人に少しでも恩返しが出来るように、
今の私に出来るのは料理
最初は食事に誘ったんだからと半助さんは遠慮していたが、直ぐに私の料理を美味しそうに食べてくれるようになり嬉しくなった。
きり丸君は早朝から夜遅くまで外でのバイトと家の中でできるバイトを幾つも受け入れて難なくこなしている。
私もお手伝いするが、バイトのスピードには敵わない。
空を見上げると少し雲が出てるが陽も顔を出してる。
これが平和ということなのだろう。
何気ない毎日をのんびりと楽しく生きる。
大通りを振り返ってみて町人達の顔を見ると、色んな表情があるも皆が楽しそう。
殺気なんて無い。
ふと、建物の間にある暗く湿った脇道が見えて入る。
買い物袋を空き箱の上に置き
左手を袖から出すと見えるのは、手の甲にある痛々しい傷跡
(あぁ……何を浮かれているんだ。私は)
自分で自分に嘲笑する
私は平和とは無縁
この傷を見るたびに思う
だが、今の一時くらいは良いでしょう。
左手を袖で隠し、大通りへ戻った。