第1章 出会いの段
きり丸の突然の発言に、私も彩さんもきり丸を見た
「きり丸!なんて事を!」
「え?土井先生は嫌なんですか?」
「い、嫌なんて思ってないぞ!って…彩さんの都合も聞かずに勝手に言うなって言いたいんだ!」
私の言葉にきり丸は成る程!と言いながら彩さんに謝る。
「あっ、私は特に都合とかもなく。仕事は落ち着いて休暇と小遣い稼ぎにバイトをと思って、町に来たんです。」
「え?あっ、そうなんですか?」
「はい。仕事は不定期なので、のんびりは久しぶりなんです。」
「なら、余計にウチに来てバイトとかも一緒に……アヘアヘ!!」
銭目になってるきり丸を押さえながら
「迷惑で無ければ、一緒に食事とか取りましょうか?女性一人は何かと心配ですから。」
「良いのですか?」
彩さんの確認の問いに、私もきり丸も頷いた。
「では、お言葉に甘えて…」
きり丸は喜び、私も嬉しかった。
年齢は聞けないが見たところ、私よりは下…20くらいだろう。
仕事を頑張るのは良いが、女性としての休暇の手助け出来たら良いなと思う。
それに……
お鍋を食べた時に浮かんだ笑顔の奥の瞳
首を横に振り食事を続けた仕草
放っておけない。
そう思ってしまうのは何故だろう。