ハン×ハン《 刻まれる時の中の...》~恋愛物語~
第2章 シケン×ノ×ジュケンシャ
っ...!!
やばい...ピエロさんに会っちゃった...
近くにいるだけで背筋が寒くなってくる冷たいオーラ
(早く通り過ぎよう...)
彼の横を通った瞬間、肩に冷たいものが当たった
「ひゃっ!?」
「ねぇ、君。僕に興味があるの?◆」
「え?」
「だって、ここにくるとき、ずっと僕のあとをついて回ってたよね?もう一人居なかった?◇」
(バレてる...!?)
でも、ここで顔に出したら負け
「私には身に覚えがありません。人違いではないでしょうか?(にこっ)」
(放っておいて、放っておいて!!)
「...(ふっ)」
彼はしばらく私を見つめていると(もちろん走りながら)、ふっと微笑んだ
そして、冷たい右手を肩からはずしてくれた
「まぁいいよ。これから数日間、仲良くやろう?」
「はぁ...」
(見逃してくれた...んだよね?)
彼のオーラで強いことはわかる
私は両親とトヒロ以外で実践したことがないから、経験の差で負けることは可能性としてあり得る
でも、私の能力だって磨いたし、相性が良ければ勝てる可能性もある
私は彼から離れ、クラピカたちをまた追いかけ始めた
(全ては、やってみなくちゃわからない!)
しばらく走っていると、クラピカと上半身裸のレオリオ(?)と思われる人物の後ろ姿が見えてきた
「クラ...」
「私は、クルタ族の生き残りだ...」
クラピカが暗い声で、意を決したような表情でなにかを話し始めた
後ろで話を聞いているうちに、クラピカの話の中に出てくる幻影旅団の事が気になった
幻影旅団は、私も父から聞いている
ランクAの懸賞金首
私にはまだ経験が足りなくて危ない、と詳しいことは聞けなかったが、話から、少なくとも先ほどのピエロさんくらいは強いんだろうなと思った
昔の私は好奇心旺盛でなんとか聞き出そうとしたが、その時の父の表情が苦しげだったため、やんちゃな私でさえ聞くのをやめたのだ
クルタ族...幻影旅団にほぼ全滅させられた一族
(一人だけ生き残るなんて、一人で生きていくなんて、なんて、なんて...寂しいことだろう)