ハン×ハン《 刻まれる時の中の...》~恋愛物語~
第2章 シケン×ノ×ジュケンシャ
急に現れたその人は、オーラのしっかりしてるハンターであるサトツさんを偽物扱いした上、自分が試験管だと偽る...
(あんたのようなボロい奴がハンターなわけあるか!!)
両親のハンターという仕事が私の憧れだ
だから、その職業についている人は皆、私の憧れの対象である
その人を侮辱するなら、私が許さない...!!
私が念を発動しようと手をあげかけたとき、それを止めたのはトヒロだった
「止めとけ。ここはお前の出番じゃない(小声)」
「だってムカつくよ、あの猿!!(小声)」
するとトヒロは、ふっと微笑んだ
「お前が能力を使う必要がないと言ったんだ。弱い奴が大声だして、イラついている受験者はお前だけじゃない」
「どういう...」
『ドスドスッ』
『ヒュヒュッ』
音がして、慌てて嘘つきの方を見ると、彼は胸にトランプを刺されて倒れていた
もう一方の音は、トランプをサトツさんがキャッチした音だった
「ふんふんなーるほど。これで決定♪」
...その耳に残る不気味な声には心当たりがあった
声を聞くだけで背筋が寒くなる
「そっちが本物だね◇」
ピエロさんがサトツさんの方を向いて言った
(彼なら念も使えるし、オーラで本物の試験管がどっちかなんてわかったはず
わざわざ嘘つきを殺したのは、他の受験者を納得させるため...)
それにしても、トランプを素早く投げる器用さには舌を巻く
平均的には、男性よりも女性のほうが器用だから、ね
「やっぱり、あいつなんかある...気を付けろよ、ルイ」
「そう言うトヒロもね」
ピエロさんはみんなを納得させた後、一瞬私たちの方を見た
「げ...おっそろしいな、あの野郎...」
「私たちが尾行してたのにも気づいてた」
「え、マジ...?」
「嘘つく必要性なんて、ない」
そう
彼は強いんだ
感覚は鋭く、猛獣のような強さを持ち、ピエロのように心(感情)を隠して人の目を欺く
(恐ろしい)
私は初めて、【恐怖】というものを味わった