第8章 年下の新しい恋人

「……うそ」

「嘘じゃない」

「うそ、絶対、嘘……」

信じられなくて激しく首をふる。

こんなの違う。

クロが私のこと本当に好きだったなんて、違う……

「信じろよっ！」

「いやっ……！」

声がシンクロした。

「なんでだよ……」

「そんなの信じられない……じゃあなんで、今まで、」

あんなこと……

「ずっと試してた」

「………」

「どこまでしたらあんたは俺のこと捨てるんだろうって、あんたのこと試してた」

「……なん、で」

「好きだから」

意味、わからない。

「ホントは、あんたのこと、覚えてた……たまに友達に連れられて部活見に来てるの知ってた。だから偶然あの夜遭ったとき、チャンスだって思った」

「なんの……？」

何がしたかったの？

どうしてこんな関係になろうとしたの？

「私の気持ち……」

知ってたよね？

私がクロのこと好きだってこと、知ってたよね？

「高１ン時、体育館であんた見て、可愛い先輩だって思った。だからあんたとまた会えて、知り合いになれてすげぇ嬉しかった……でも、そのうちあんたのこと好きすぎて、どうしていいかわからなくなった。あんた、別れたくせにまだ木兎のこと、気にしてただろ」

「………別にずっと好きだったわけじゃ、」

「好きじゃなくなったかもしれねぇけど、あんた木兎のこと嫌いじゃないだろ、今でも。俺は、あんたが木兎と関係あったことも、元カレの男に優しいことも気に食わない」

「………」

「そうじゃなくてもあんたが俺のことどう思ってるのかわかんねぇし……あんたは俺の言うことなんでも聞いてくれるけど、あんたの本当の気持ちは教えてくれなかった……だからどんな手段ででもあんたの気持ちを縛りつけておきたかった……」

「そ、んなの……」

勝手だよ……。

「あんたを、誰にも渡したくない……好きだったから」

「から？　好きだったから……セフレになったの……？　わからないよ……クロの言ってること、わかんない……他の人とセックスしてるの見て、クロは嬉しかった……？　それって私のこと好きなの？　違うよね……？」

クロの胸を叩く。

「ねえ、……違うよね……？」