第6章 年下の強引なカレ
「木兎さん、彼女いたことあるんですか」
メガネ君が意外そうにつぶやく。
「ったりまえだろ」
「よくこんな人とつきあってましたね」
メガネ君が今度は私に言う。
「こんな破天荒な人、よっぽどこっちが我慢強くないと無理デショ……まあ、裏表はないだろうけど」
この人、よく木兎をわかってる。
「てか、俺、またこいつにアタックしてっから」
「一度振られたのに?」
「ツッキー、なんで俺がフラれたってわかんだよ」
「普通わかるデショ」
「……」
「おまえらもコンビニ?」
「僕は無理やり連れてこられただけですから」
クロの問いに、背の高い子が表情なくぶすっと答える。
「てか、王様もコンビニ行くなら言ってくれれば僕が来る必要なかったのに」
「はぁ、なんで俺がお前のために来なきゃいけないんだよっ!」
黒髪の子が牙をたてる。
「いいじゃん。ツッキーもアイス食いたいっていったじゃん」
「アイスって騒いでたのは、木兎さんだけですよね」
声が冷たい。
「でもまあ、俺もうアイスどうでもよくなった」
「は?」
ツッキーと呼ばれた子の声がもっと寒くなる。
木兎の手がひゅっと伸びてくる。
腰を掴まれて引き寄せられた。
「っ……、木兎っ!?」
「ちょっと彼女貸して」
「おいっ」
「すぐ済むって」
クロの制止を受け流した木兎に、数メートル離れた場所まで連れていかれる。
「な、なに……?」
「なあ、本気で考えてくれよ、また付き合おうって話」
少し覆いかぶさるように、腰をかがめた木兎が囁く。
「だからその話はもう……」
「俺、マジなんだけど」