第6章 年下の強引なカレ
一度泊るの許したら、もう拒む理由がない。
そう悟ったときには遅かった。
リエーフは週に3回は泊りにくるようになった。
家族のことを訊いても、
『部活の先輩のとこに泊るって言ってます』
からっと笑う。
悪びれない。
部活終わった頃に、
『今から行ってもいいですか?』
LINEがくる。
そして毎回『好きです』と言ってくれる。
クロとは対照的。
自分の感情を出すことを惜しまない。
私にも。
そして、周囲の人にも……
『最近リエーフに乗り換えたらしいじゃん』
久し振りのクロからの電話。
開口一番、呆れたような乾いた笑い。
『あいつ、よっぽどあんたのこと気に入ったらしいじゃん。
毎日部活のときあれこれ教えてくれるんだけど』
「……」
『ついでに俺に説教までしてくれるし』
「……なんて?」
『クロさん、セフレはよくないですっ……』
リエーフの口ぶりを真似たクロの声が、どこか苛立ってるように感じるけど、気のせい……?
『で、リエーフに乗り換えたあんたに俺はもう必要ないってか』
「……連絡くれなくなったの、クロでしょ」
『あんたが面倒くさいモードじゃなくなるの待ってたんだけど?』
「面倒くさいの嫌なら、もうこのままフェードアウトすればいいのに」
『それ、本気で言ってんの?』
「………」
『そんな俺と切れたいってか』
違う。でも、ホント。
このままなら、もう……
『今度森然で合宿あんだけど、来いよ』
なに、突然……
「森然って、いつもの合宿?」
夏休み後半、梟谷学園グループの高校が集まって夏の強化合宿をするのは知ってる。
去年は合宿から帰ってきて早々に散々いたぶられた。
『今年は森然なんだよ、あのクソ田舎』
たしかに森然は東京都下圏内と言えど、見渡す限りの緑と山に囲まれてる。
『ムリ』
『来いって。……来たらあんたのこと諦めるから』
「え……、」
『セフレ解消してやるよ』
『……本当に?』
『マジで』