第4章 新しい年下のセフレ
サークルの飲み会に参加して帰宅すると、玄関ドアの前に細長い何かが突っ立っていた。
うすぼんやりした廊下で、スマホを弄る顔だけが画面の光に反射してる。
白い肌。
灰色の目。
リエーフ?
「リエー、フ……?」
私の声にはねるように顔が上がって、それから声の元を探すようにこっちを見下ろす。
本当に背が高い、この人。
「あ、あのっ、すいません、突然来て!」
「……どうしたの?」
なんとなくお互い決まりが悪い。
初めて会ったのがあんな感じだったから……
「あの、俺……」
上から声が降ってくる。
「身長、高いね」
「あ、193cmっす。てか、まだきっと伸びるし。うちお父さんもすごく高いから」
普通に話すと、まだ幼さが残ってるのがわかる。
普通に、高校1年生な感じ。
「お父さんが、外人なの?」
「ロシア人っす」
「じゃあロシア語、」
「俺日本語しか喋れません」
「……あ、なんか使えないハーフ……みたいな?」
「ひどっ……」
ハーフだと一目でわかる綺麗な顔。
大きなアーモンド形の目もグレーと一言で言うには複雑な色。
思わず顔に見入っていると、
「なんか顔についてますか?」
じっとこっちを見下ろしている。
どことなく不安げな、でもなにか期待してるような。
でも、なにか焦ってるような……
「なんでもない。……あがる?」
「あ、……はい」
鍵を開けると、素直に長身がついてくる。
玄関でちゃんと靴を揃えるのを忘れない。
細かいけど、ちょっと好感が持てた。
「で、どうしたの?」
コーヒーを淹れて、湯気の立つマグカップをはい、と手渡す。
ローテーブルの前にちょこんと正座しているリエーフの前に腰を下ろそうとすると、
「あ、ありがとうございま、す……って、あの……、砂糖とミルクありますか?」
「あ、ごめん」
キッチンから小分けのを持ってくると、陶器みたいな白い肌がポッと赤くなった。
「なんか、かっこ悪いっすよね……お子様っぽくて」
「かも」
思わず笑うと、リエーフの顔もようやくほぐれる。
「あの、俺……この前、なんか、すいませんっした!」
リエーフはいきなりガバリと頭を下げた。