第4章 新しい年下のセフレ
ブルッと鞄が震えた。
LINEだ。
『ヘイヘイヘーイ、そろそろ気が変わったか?』
がっつり笑顔とピースマークが入ったメッセージに、溜息がでる。
『変わらない。永遠に』
『んじゃ、変われよ、今すぐ』
今度は呆れ顔のスタンプが後追いでついてくる。
木兎は強引。
自分の思い通りになるか、別に欲しいモノができるまで、絶対諦めない。
『無視すんな!』
そして、返事するまで語りかけてくる。
『別れた人とまた付き合うのイヤだから』
『なんでさ』
『一度別れたのに上手くいく理由がない』
『別にそんなの関係ないじゃん』
『関係ある、私には』
『俺のこと、嫌いじゃないじゃん』
木兎はカンもいい。
変なカン。
『好きでもないから』
『俺のチンコは好きなのに?』
こういうあけすけなところも、苦手。
『あ、ヤバ、赤葦来た、またな~』
最後はガッツポーズのスタンプ。
口説きメールも、真剣さがない。
それが木兎。
これ以上でも以下でもない。
良く言えば、常にポジティブ。
前しか見ない人。
『また連絡する』
言葉とは裏腹にクロから連絡がなくなって2週間。
その直後から木兎からメールが来るようになった。
クロが木兎に何か言ったのか。
わからない。
でも、木兎から毎日のように「また付き合おう」と迫られる。
バレーしてる時みたいに、ストレートに、迷いない言葉で……。
また俺のとこに戻ってこいって。
おまえの気持ちいいコトだけしてやるから。
どこまでも自分への自信を隠さない。欲望も隠さない。
木兎のくれる快楽だけに溺れられれば、気持ち的に楽。
そんなの、わかってる。
でも、無理。
自分に「苦しくても好き」って感情がなければいいのに……