第4章 新しい年下のセフレ
「クロ、帰らないの?」
「……帰ってほしいのか?」
「そうじゃなくて……明日も学校だし」
「ここから行く」
「……着替えは?」
「別に。1日ぐらいいい……つうか、お前薬飲んだのか?」
「あ、まだ……」
「そういうとこ、なんか抜けてるんだよな、どこ、薬?」
「カウンターの上」
キッチンカウンターの上にある市販の薬を見て、クロが顔をしかめる。
「お前、ちゃんと医者行ってもらってこいよ」
「……行くのしんどかったから」
「そういう時は電話しろよ。そんぐらい付き合ってやるし」
「………」
「なに黙ってんだよ」
「……なんでもない」
クロはミネラルウォーターのペットボトルと薬を持ってくると、ベッド端に座った。
「ほら、口開けろ」
開けた口の中に錠剤が2つ放りこまれる。
ミネラルウォーターで流しこむと、背中をポンポンと摩るように撫でられた。
クロの手のぬくもりが、こわばった背中にじんわり染み込んでくる。
温かい。
優しさの暖かさ……だったらいいのに……
「……あの……、罪悪感でいてくれるなら、私大丈夫だから、帰って大丈夫だよ」
努めて明るく言ったつもりだったのに、クロの顔が険しくなる。
「はぁ? そんなんじゃねーよ!」
「……じゃあ、なんで、いてくれるの?」
「………」
クロは、根は優しい。
だからクロは、今、私の扱いに困ってる。
セフレの域を超えたい私をどう扱うか、迷ってる。
あんなことされても、まだクロが好き。
そんな私の気持ちは、クロには重い……きっと。
でも私は、これからもっと沢山求めてしまう。
クロの心が欲しくて、求めてしまう。
今の関係がもっと苦しくなる。
クロが私を彼女として好きになってくれないことが、私をどんどん苦しめていく。
……だったら、もう私から離れていくべき。
なにか、クロが納得する方法で……