第4章 新しい年下のセフレ
『なんで?』
返信にびっくりした。
こっちが「なんで?」だよ……
今まで、理由訊いてきたことなんてないのに。
なんて返事しよう。
熱で朦朧とする頭で考えていると、またスマホが震えた。
え……なんで、電話してくるの?
スマホの画面に「クロ」の文字。
「…も、」
『今日なんか用事あんの?』
いきなり問われる。
なんて言おう。
絶対一発で納得できる理由……
「ゼミの飲み会あるから」
かすれてる声がなるべくばれないように高い声を出す。
『へえ……何時から?』
「ひ……7時」
『わかった』
電話が切れた。
なんだったんだろう。
いつものクロっぽくなかった気がするけど……わからない。
今日もセックス?
そう思って、笑えてくる。
今日も、ってそれ以外の理由で会ったことなんてないのに……
ふいに、出会った頃のことが頭によみがえる。
街で再会してから暫くは、ただの友達だった。
クロからメールが来て、どこかで会って、ご飯食べて、それで終わり。
いろんな話して、楽しかった。
2つ年下なのに、クロはすごく大人びてる。
考え方がしっかりしてる。
でもたまに高校生っぽい表情もあったりして。
掴みどころのないところに、いつの間にか惹かれてた。
そうだ、いつから私たち、セフレになったんだろう……
きっかけって……?
よく覚えてない。
クロは自分の本心を隠すのが上手い。
そして、私は、人の機微を読むのが疎い。
クロが何を考えてるのか、予想するけど、その予想は当たったことがない。