第2章 はじまり
「…うん、こんなもんか」
「えっと…32人ですね」
本日の部活は仮入部がメインだ。
入部が決まっている者、まだ仮入部の者含め、計32人がバスケ部に集まった。
32人といえば中々の人数だ。
というか、むしろ多すぎる。
もちろんこの中で入部する人数はそう多くはないが。
「じゃあまずは全員体力テストからだ!並べ!」
「「「「うす!!!」」」」
ちなみに既に入部が決まっているのは5人だ。
こちらからのスカウトがあった子達だ。
そしてその中にはもちろん、アイツもいるわけで。
「今日はまだ少ないな…」
…黄瀬だ。
まだ入学初日のためギャラリーは少ないが、どうせ明日明後日と日が経つにつれて多くなるだろう。
心底鬱陶しい。…というのは内緒だが。
ふと、黄瀬と目が合いウインクをされるが、ガン無視してやった。
そんなことする余裕があるならテストに集中しやがれ。
「森山先輩、女子見てんじゃねーですよ」
「! なまえちゃん…ダメだろそんな言い方しちゃぁ…」
「先輩が悪いです」
「そう妬かないで…」
「妬いてませんから」
それはこっちにも言えた話だった。
まったく、困った先輩だ。
これでこのチームのレギュラーなんだから、ほんと世の中って怖い。
「練習に集中出来ないなら追い払ってきますよ」
「そ、それだけは…」
「なんでですか」
「みょうじ、お前そんな勇気無いだろ…」
「やだな笠松先輩、部員の為なら何でもしますよ」
「あーそっか。じゃあ頼んだ」
「よしきた」
「ダメだーー!!」
レギュラーがこんなのでいいのだろうか。
それにきっと、またしばらくしたら黄瀬がレギュラー入りするのは間違いない。
いよいよ海常のスタメンの個性が濃くなる。
「なまえさんなまえさん」
噂をすればなんとやら。
まぁ噂をしていたのは私の脳内でだけど。
「オレのテスト見てくれてたっスか?」
「見てるわけないでしょ」
「えーっ、なんで?!」
「私だって忙しいのよ」
「ぶー」
これだからワンコは…。
って言ったらまた、犬じゃないっス!ってギャンギャン吠えるんだろうけど。
「レギュラー入りしたら嫌でも見るっつの」
「まぁそれは約束されてるっスね!」
「いや、わかんないから。余裕ぶっこいてたら下ろすからね」
「えっ」