第2章 はじまり
「笠松先輩、希望者どんな感じです?」
「あー…まぁ、結構」
「へー。あ、この子中学ん時から割と有名でしたよ」
「へー」
「…マネージャーは?」
「今んとこは居ねーかな」
「んー、そっかぁ」
マネージャーというのは結構憧れると思うんだけど、この学校は厳しいからなのか、マネージャー希望は少ない。
現に先輩達の代は誰一人希望者は無く、私の代も2〜3人いたが、結局私一人になった。
まぁ現実、選手が大体自分らでしてしまうというのもあるし、マネージャー希望は大体男目当てだからだ。
もちろん私はそんなつもりはない。
「お前くらいサバサバしてる奴なら…まぁ、いんだけどな…」
「それでもまだ距離あると思うのは私だけですか?」
「いや…悪りぃ…」
それに私は中学、帝光のバスケ部でマネージャーをしていたのだ。
あんなところで3年間やってこれたんだから、高校になってどんなとこへ行ってもしんどいと思うわけがなかった。
最初は笠松先輩も他の人も私は色恋目当てに来てると思っていたらしい。
だけどなんでも雑用をこなし、遠慮無い態度で指摘している内に、最早女扱いすらされなくなってきた。
そういう訳で今でもマネージャーとして居させてもらっている。
「あーでも今年は希望者来ても、例年通りかもね」
「どういうことだ?」
「…ほら、黄瀬ですよ」
「アイツ…モデル、してるんだっけか?」
「そーそー。なんで、変な虫が寄って来るかもです」
「虫って…」
だからマネージャー希望が居ても私としては厳しくするし、ちゃんと本気を見せてもらわないと入部させる気はないのだ。
「てか、アイツとその…ど、同棲、してる、んだろ…。大丈夫なのか…」
「"同棲" くらいハッキリ言ってくださいよ。てか同棲じゃなくて、黄瀬が勝手に居候してるだけです」
「そうかよ…。で?大丈夫なのか?」
「大丈夫って?とりあえず襲われる事もあり得ないですし、女子の事なら黄瀬が守ってくれるらしいですよ」
「お、おそわ…っ!?」
どんだけ純情なんですか先輩。
けど早川みたいに可愛くはないな。
「とりあえずこれからの部活はギャラリーヤバいと思いますよ」
「…頭痛くなるわ…」
「頭痛薬 常備しときますね」
「…頼むわ」
それからもちょくちょく入部希望者は増えたが、マネージャー希望は現れなかった。