第8章 ひと休憩の小さな嵐
「なまえさんおはよ~」
「おはよ」
あれから私達はすぐに寝た。
確か時間は22時ごろだったから、8時間という正に理想の睡眠時間はとった。
おかげで目覚めは良いし頭もスッキリしてる。
朝食もよく入るし、黄瀬も調子が良さそうだ。
「なんか肌のツヤが良いんだけど…」
「ほんとだ、スベスベっスよ!」
「くすぐったい」
今日はスッピンで行こうかな…。
ここまでスベスベだと化粧するのが嫌だ。
「あれ、今日はメガネのままスか?」
「授業中だけね。スッピンだから」
「なるほど。でも部活はコンタクトなんスね」
「そうだね。メガネ邪魔だし」
そして実はコンタクト派なのだ。
まぁ、めちゃくちゃ悪いわけでもないんだけど、ただメガネが邪魔だという理由で。
「そろそろ出るよー」
「ハーイ」
てことで今日も学校なわけですが。
「…なんかいつも以上に視線が痛いような…」
「そっスか?メガネだからとか?」
「そんな気になる?」
黄瀬と歩けばごく自然なことだが、どうも気になる視線。
女子のものとわかってはいるけども、いや、わかっているからこそ本当に怖い。
別にそこまで気にしてなくても、部活とかに支障が出たらと思うと怖くて怖くて。
「学校まで走る?」
「え、ヤだよ、汗かくもん」
「んーそっか…」
出来れば走ってでも早く学校に行って、この視線から逃れたいものだけれど。
というか、視線だけじゃない。
結構家の近くからずっと後ろに誰かいる気がしてるんだけど。
あ、そういえば黄瀬のストーカーがいるって前友達が言ってたな…。
まさか……
「やっぱ走ろう」
「えっ、いいんスか?」
「うん。今日体力テストあるしその予習」
「マジっスか」
「行くよー」
「うわっ、待ってなまえさん!」
側から見たらただの仲良しっぽいけど、そうじゃない。
私は後ろの気配から逃れるように全力疾走した。
「ハァ、ハァ…やば…む、むり…」
「大丈夫っスか…?」
学校に着いた私は息切れが半端じゃなかった。
そして黄瀬はもちろん余裕だ。
これが運動してる人としてない人の差か…。