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海常高校バスケ部です。

第7章 明日も笑えるように



「黄瀬」
「ハイ」
「負けたねぇ」
「え、なんスか。まだ言うっスか?」
「いや、なんかさぁ、負けたけど、スッキリしてない?」
「……」
「バスケへの思いが改めてわかったし」
「…まぁ」



まだ納得いかない、そんな意地っ張りも私には通用しないよ。
どうせアンタもバスケ馬鹿なんだから。
そんなの表情見たらわかるんだから。



「でもま、ハジメマシテの火神くんに負けたってのは悔しいだろうし」
「…っ」
「今日は特別」



私は手を伸ばし、隣で俯く黄瀬の頭を撫でた。
一瞬肩をびくつかせたが、そのまま黄瀬は撫でられていた。



「…オレ犬じゃないんスけど…」
「犬なんて思ってないよ。よく頑張りましたのご褒美?」
「…子供扱いしないでほしいっス」
「じゃあ私の前でくらい無理しないで良いのに」
「…」



それから少しして、黄瀬の肩が震えだした。
声を出さないあたり、まだ甘え下手なのかなと思った。
それか、私が甘やかし下手か、のどちらかだな。



「なまえさん…」
「ん?」
「オレ、次は絶対負けねぇっス」
「うん」
「絶対、絶対絶対勝つっス」
「うん。私も」
「ハイ」



いつかちゃんと甘えてくれるようになったら、その時は思いっきり甘やかしてあげよう。





「よしっ、プリン食べよ!」
「ん…」



掠れた声してる。
鼻もちょっとすすってるし、やっぱり悔しかったんだな。
こんなの、公式戦だったらどうなるんだろうね。
その時は私も平然としてられるかわかんないんだけどさ。



「あっ、焼きプリンじゃん」
「そっスよ~」
「これ最近人気のお店?」
「うん。モデル友達の子にオススメされて…」
「おいしそー!食べよ食べよっ」
「ハイっ」



そして私達はプリンを食べながらテレビを見て、久しぶりによく笑った。

さて、明日もまた一日頑張りますか。
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