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海常高校バスケ部です。

第7章 明日も笑えるように



「ごっちそー様っス!」
「お粗末さまです」



お風呂から上がってご飯を目の前にした黄瀬は、お腹を鳴らしてまで食いついてきた。
嬉しそうだったから良かった。
頑張って作った甲斐があるってもんだよ。



「片づけしとくっスよ!」
「え、いいよ」
「お皿とお箸とコップだけだし、疲れないから大丈夫っスよ」



私が黄瀬のために、としていたことはお見通しのようだ。
ほんと、変に鋭いんだから。
素直に甘えてくれれば良いのに。
「その間にお風呂入ってきて」と、そこは譲る気も無いようだし、大人しく任せようか。



「あ、でも長風呂はしないでね。昨日買ってたプリン、なまえさんと食べたいんで!」
「はいはい、待っててね~」



ささっと体中の汚れを落とし、湯船に浸かる。
今日は柑橘系の入浴剤入れたのか、蓋を開けるととても良い匂いがした。
二人とも柑橘系が一番好きだからかなり量はある。
最近はたまにしか使って無かったけど、やっぱりいいもんだ。



「はぁ~落ち着く~…」



けど、あんま長いこと入ってると拗ねそうだからそろそろ上がるか。

体の水分を拭き取り部屋着を着る。
髪を拭きながらリビングにいる黄瀬に声を掛けようとしたが、テレビもつけず音楽もかけず携帯をいじることもせず、黄瀬はソファに座ってただボーっとしていた。
その横顔は何か考え込んでいるのか思い出しているのか、切ないような苦しいような懐かしむような、なんとも曖昧な表情で、私はそのまま声を掛けることが出来なくて髪を乾かすことにした。





「お待たせ」
「…遅いっスよ~」
「髪の量多いし長いし仕方ないでしょ。いっそ切ろうかな?」
「えっ、それはダメっス!」
「ジョーダン」



一見普通にしてるけど、振り返った時の表情はまだちょっとボーっとしてたよ。
ほんと、甘えるの下手だなぁ。

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