第7章 明日も笑えるように
しばらくして3on5は終わり、余裕で勝ったようだ。
ちなみにチャラ集団は虫の息。
「お前は!何を考えてんだ!!あのまま喧嘩とかになったら勝てるつもりだったのかよ?!」
「いや、100%ボコボコにされてました」
そう言ったテツヤは袖を捲って「見てください、この力こぶ」と力こぶを見せてきた。
…無いけど。
こういう冗談を言うところも可愛くて仕方ない。
「ほんと、テツヤは相変わらずだね」
「どうも」
そんな真っ直ぐで素直なところが、テツヤの良いところだ。
「さて、と。黒子っちに話したいことも話せたし、最後に一緒にプレーもできたし…そろそろ行くっスわ」
「だねー。お腹も空いたし。ってことで、またねテツヤ。火神くんも!」
「はい」「ウ、ウス」
「あっ、あと火神っちにもリベンジ忘れてねっスよ!予選で負けんなよ!」
「火神っち?!」
そうして私達はそこで解散した。
隣を歩く黄瀬は機嫌が良さそうだ。
こうして見てると、弟でも出来たようでなんだか微笑ましくなる。
…と、中学の後輩達と絡むといつも思う。
最近は黄瀬が毎日家にいるから余計だ。
「今日何食べたい?」
「え、うーん…、パスタが食べたい気分っス」
「珍しいね。じゃー冷蔵庫の中身的に…和風になるけどいい?」
「もちろん!楽しみっス!」
そういや最近洋食多いな、と思ったが、今日は黄瀬の食べたいものだしいいか。
と黄瀬をチラッと見ると、さっきまでのニコニコした表情は無く、どこか遠い目をしていて何かが胸に引っかかった。
さっきの暗い感じが気になりつつも家に着き、黄瀬に先お風呂に入らせた。
その間に夕飯を作る。
とびきり美味しいの作って、少しでも笑顔が見れたらいいな…。
「あ、やば。大根おろしすぎた…」
まぁ、少しの失敗はどうにかなるもんだ。
大根おろしは明日の朝に食べれば問題無いし。
「黄瀬長いな…。今日長風呂の日だったっけ」
パスタがもう少しで出来そうだというのに、黄瀬はまだ上がってこない。
でもこういう時、呼びに行くと同時に上がってくるからヤバい、いろいろと。
ガチャっ
と、やっぱり上がってきた。
「黄瀬~、もうすぐ出来るよ―」
「…ハーイ」
ちょっと元気が無さそうなのはやっぱりまだ引きずってんのかな。