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海常高校バスケ部です。

第6章 あの頃の気持ち



テツヤを抜くことを止めて外で攻めても、そこでは火神くんが止めに来る。

今、流れは誠凛だ。

ボールが誠凛に渡り、速攻だと思ったその時。



ガッ

「黒子くん!!」「テツヤ!!!」



焦り出した黄瀬の腕がテツヤの頭部に直撃したのだ。
テツヤはフラついて、血も流れている。



「こっち!ここに寝かせてて。今応急処置しますから。1年!スコア頼んだ!あと誰か一人教務室行って氷もらってきて!」
「はい!」



誠凛のベンチの後ろに寝かせると、テツヤは弱々しくすみません、と言った。
一体何に対する謝罪だろうか。
テツヤは昔から少し責任を感じすぎる時がある。
別に試合がぶち壊しになったわけじゃないのに。



「大丈夫だよ」
「でも…」
「いいから今は安静にしときな。ね」
「…はい。ありがとうございます」
「ん」



ベンチに戻って黄瀬を見ると、テツヤのことを気にしているようだった。



「みょうじ」
「はい?なんですか監督」
「お前も帝光出身だったな」
「あ、はい」
「黄瀬やあの11番のことも知っているんだろう?」
「まぁ…」



なんだろう。
何が聞きたいんだろう。
こっちを見ないから何を考えているのかわからない。



「あの11番は…幻の6人目と言われていただろう。それなのになぜ誠凛という無名校に行ったんだ?」



は?…と言いそうになったところで留まった。
この期に及んで、未だ誠凛をなめてかかってるのかと呆れ半分だ。



「無名校だからなんだってんですか」
「え?」
「テツヤ…彼が選んだ学校ですから。無名校だとか関係ないんですよ。有名だとか強豪だとか、そんなので選んでないんですよ、彼は」
「……」



私は前を向いたままそう言い放った。
一体どう思っただろう。
けど、いざ言ってみるとスッキリするもんだな。



「てことで、この先は油断しないようにしてくださいね」
「む…」



私はあえてそれ以上何も言わず試合を見ていた。
誠凛の主将さんのシュートの精度が良いのはわかっていたが、想像以上に差を詰められた。
それに…、そろそろ復活してきてもおかしくないだろう。



「いってきます」



横のベンチを見ると、やっぱり復活していた。
…テツヤ。

私は静かに、その行く先を見守ることにした。
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