第5章 中学三年生
「おはざーっす!」
今日も元気な帝光バスケ部は全中に向けて練習の日々だ。
「なまえさん おはざっす!」
「おはようございます、みょうじ先輩」
「おはよう。青峰、テツヤ」
最近、青峰の才能はますます大きくなっている。
一度は悩み沈んだこともあったみたいだけど、テツヤのおかげか元気を取り戻したようだ。
私達ももうすぐ引退だから、このまま何事もなく卒業を迎えてほしい。
「いよいよ全中まで2週間きった。改めて気合いれてくぞ!!」
「「「「おおっ!!!」」」」
私達の代はそれほど問題という問題はなかった。
…いや、一年の時は虹村が少しヤンチャを…まぁ、ほんの少しだけ、あったけど。
才能という才能がぶつかり合う可能性は大いにある。
実際、全員が個性的すぎて何度か意見がぶつかり合うことは既に何度かあったし。
「みょうじ」
「ん、何?虹村」
「アイツらどう思う」
「アイツらって… "キセキの世代" ?」
「おう」
「どうもこうも、心配だな」
「…だよな」
実際、こうして私達が2人で話していると必ずと言っていい程からかってきていた青峰はダンマリだ。
それに、やる気自体もどこかムラがあるように思う。
だからと言って、気持ちがわかるわけでもないし余計なことは出来ない。
「部活辞めるなんて言いださなきゃいんだけどな」
「それは無いと思うけど…」
「ま、全中2週間前きったわけだしそれはそれでまた考えとくか」
「そうだね」
そうして私達は話を切り上げたが、その心配が途絶えることはなかった。
そして全中はやってきた。
今年は体力もしっかり付けてきた私達は、当然のごとく決勝まで進んだ。
「今日がこのメンバーで試合する最後の日だ。悔いの無いプレイで優勝すんぞ!!」
「「「「おお!!!」」」」
気合が十分に入った一軍メンバー。
もう負けることは無い。
少し苦戦したところもあったけど、なんとか乗り越えられた。
あとはもう今やれることを精一杯やるだけだ。
「いけー!帝光ー!」
私に出来ることは大きな声で応援をすること、みんなの戦歴を記録すること、消耗される体力を少しでも回復させること、たったそれだけだ。
そしてそれが私の戦い方だ。