第4章 不器用な二人
「みょうじ先輩すみません。怪我しました」
それからあっという間に冬になった。
冬になるとまた新しい後輩ができた。
名前は黒子テツヤ。
変わったバスケスタイルで活躍している。
「わぁ?!テツヤ大丈夫?!血出てるよ!」
「そんなに騒ぐことでも…」
「可愛いテツヤの足だもん」
「…嬉しくないです」
「さつき!消毒液とガーゼとテープとティッシュ!」
「はい!!」
これまでの一年とは違い、とても大人しく真面目で可愛い。
まぁ、敦も負けてないけど。
「黒ちん大丈夫〜?盛大に転んでたけど」
うん、可愛い。
間延びした喋り方が特に可愛い。
母性本能をくすぐるってもんだ。
「大丈夫です」
「痛そー…。黒子くん、ちょっとシミるよ」
「…っ」
「ランニングキツかった?」
「まぁキツいと言えばキツかったのですが…学校目前にして石に躓きまして…」
「あらら…」
うーん、消毒液がシミて半泣きなテツヤも可愛い。
中1なんてまだ小さいもんなー。
「ありがとうございました」
「ん。気をつけてね」
「はい」
「…なまえ先輩」
「ん?どうしたの、さつき」
私の1つ下には3人のマネージャーが入ってきた。
その中でも特に話すことが多いさつき。
中1なのになんてスタイルと顔立ちしてるんだ。
私より背も胸も大きい。……なぜ。
「黒子くんのバスケスタイルって…」
「あれ、さつきはまだ見たことなかったっけ?」
「はい。以前の練習試合はあっちゃんが付き添いだったので」
「あーそっか…」
「はい。あっちゃんに聞いてもよくわからなかったみたいで…」
「あー…」
うん、確かに練習だけじゃわからないな。
だからって、なんて説明したらいいかもわからない。
ただパスの中継役、って言っても見なきゃ理解しづらいだろうし…。
「次2軍の練習試合決まったら、さつきが行きなよ」
「…?はい」
「そしたらわかるよ」
テツヤは特殊の中の特殊だからなぁ…。
私も初めて見た時は何これって感じだったし。
あの影の薄さがこんな風に役立つなんて、ほんと凄いよな〜。
虹村はそれを見出したのは赤司だって言ってたけど…。
「まぁ練習試合もしばらく無いと思うけどね」
「…強化期間ですもんね」
「そーそー、新体制になるからね」
だとしたらあの子何者だよ。