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海常高校バスケ部です。

第4章 不器用な二人


「みょうじ」



あの日、結局私は虹村の言葉を信じた。
そして私も自分の気持ちを伝えた。
つまり、そういうことだ。



「な、ななななに?」
「今度新しいメニューを入れようと思うんだけどよ」
「い、いいんじゃないっ?うん!」
「…お前なぁ」
「はいっ!?」
「あの時普通にするってお前が言ったんだよな?」
「うっ」



付き合っても、これからもずっと今まで通りにする。
確かに私はそう言った。
だけど思った以上に緊張する。
今までにも付き合った人は2人くらいいた。
まぁ、長続きはしてないんだけど。
その2人はクラスも部活も違ったから、あまり意識することがなかった。
だけど虹村は……



「あんま意識されすぎるとコッチまで移るんだけど」
「ご、ごめんなさい…」



なんでだろ。
変に意識してしまうし、なぜか前よりもカッコよく見える。
あー私おかしくなったのかな。



「もーちょい普通にしてくれ、頼むから」
「ん…」
「…青峰とか灰崎がうっせーんだよ」
「あー…わかった」



チラリとその2人を見ると、コッチを見てニヤニヤとしていた。
頭にタンコブ出来てるのにまだ見るか。



「よっし、じゃあ悪いけど慣れるまでは動物として扱うから!」
「は?え?動物?」
「そ!ペット的なね!」
「…まぁ慣れるまでは許してやるよ」
「ん!」



虹村は動物、虹村は動物、虹村は動物!!



「なまえさん、マジでキャプテンと付き合ってるんすか?」
「無駄口叩かず走りなさい」
「質問に答えてくれたら!」
「あれはペット」
「は?」
「はい答えたよ、ほら走りなさい!」
「ええ〜〜」



よし、この作戦なら動揺しないな。

と、慣れるまでずっとその感じでいると、いつの間にか自然と話せるようになっていた。
秋にはもうペットなんて思っていない。
デートも何度かするうちにちゃんと自覚出来た。

私は虹村と付き合っている、虹村の彼女だと。
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