第4章 不器用な二人
中2、春。
初めて "後輩" が出来た。
「えっ、いきなり一軍に上がってくんのか?!」
「みたいだよー」
「うわー、天才ってやつかよ。ムカつく」
「大丈夫だよ。そうは言っても虹村の方が絶対上だよ」
「はぁー?当たり前だろーが」
「ハイハイ」
新学期、新入部員は最初のテストで軍分けがされる。
普通いきなり一軍に来ることは無いのだが、今年は天才がいたらしい。
「一年生連れて来ましたー」
「おーサンキュ」
赤司征十郎、緑間真太郎、紫原敦、青峰大輝。
まだ幼いはずなのに、かなり風格も雰囲気もあるのは身長のせいだろうか。
とは言っても、赤司君は私とそんなに変わりないか…。
「んじゃま、片付けとかはこの先輩に聞け」
主将は私を指差して彼らに指示をした。
と、一斉に真っ直ぐな視線がこちらに向く。
「「「「よろしくお願いします!」」」」
「よろしくね」
それから何度か話していると、この子達がどんな子かわかってきた。
私よりデカい弟が四人も出来た気分だった。
「なまえさーん…」
「ん?どうしたの青峰」
「虹村さん怖い…」
「あはは、虹村が?」
「おい青峰!逃げんな!」
「うわっ、助けて」
特に青峰は懐っこくて、よく私に話しかけてきた。
生意気かと思ったけど、全然そんなことなくて私も可愛がっていた。
「虹村ビビられてるじゃん」
「いやいや、コイツが悪りぃんだって!」
「何したの」
「虹村さんがなまえさんの…むぐっ」
「捕まえたぞ青峰ぇ…覚悟はいいかぁ?ああ?」
「むむむっ!むむ!むーーー!!」
「私が何よ」
「いや、何も無ぇって!な?青峰?」
「むぐ…」
虹村にも遠慮無く絡んでいるみたいだし、何を言っていたのかは知らないが楽しそうで何よりだ。
それからしばらくして、見るからに悪ガキっぽそうな一年がやって来た。
名前は灰崎祥吾。
「先輩美人っすね~。部活の後、オレと遊びに行きません?」
「行かないよ」
「えー…ぶほっ!!」
「口動かす暇あんなら手動かせやコラ。それともオレとお遊びするかぁ?ああ?」
やっぱり悪ガキでかなり手を焼いたが、大体虹村が間に入ってくれていた。
「おい元ヤン、程々にしとけよー」
「ちょっ、やめてくださいよキャプテン!」
…少々やり方は派手だったけど。