第6章 挨拶参り
「俺がどこにいようが俺の勝手だろうがァ、文句あんのか?あ?」
力の入った目が三善先輩達を見ている。
バタバタバタバタ―――
「文句あんならかかって―――。」
ドカぁッ―――
「ッ―――」
ドザァッ―――
勢いよく背中にめり込んだ足の裏の力で、高嶋が床に前のめりに倒れる。
離れる腕。
それを誰かの手が優しく包み込んだ。
「上等だ、クソ野郎ッ!!」
鼻から血を出している誠也君が、中指を上げて高嶋を激しく見下ろしている。
彼だ。
彼が触れた腕をジッと見つめる。
「テメェ……誰にむかって――。」
高嶋がゆっくりと立ち上がった。
こめかみに青筋を立て、誠也君を睨み付けている。
「人の女、二度も傷付けやがって……先輩もクソもあるかッ!!ぶっ殺してやる!!」
そう言った彼の瞳孔が開いた。
我慢の糸がキレたのだ。
彼があたしから手を離し、ゆっくりと高嶋に近寄る。
あたしは、彼の背中をジッと見ていた。
彼の触れた腕を触りながら。