第6章 挨拶参り
なんでアイツが―――
そう思いながら廊下を走る。
気づいたら教室をとびたしていた。
自分の意思じゃなく身体が勝手に動いている。
"彼が心配"
胸はその気持ちでいっぱいで。
彼のもとを目指していた。
バタバタバタ――
かけ降りる階段。
彼の教室は一階下。
"キャアァァァアア!!"
二年の廊下に出れば聞こえてくる悲鳴。
角を曲がれば遠くで倒れている生徒。
目を凝らして見れば、前田兄弟だ。
そして、怯えている人。
良く見れば極使天馬の兵隊さん。
あたしはそこまで走った。
「大丈夫!?」
血だらけの兄弟に近寄る。
「姉……御は……来ちゃ…だめだ…。」
血の出る口から吐き出される弱々しい言葉。
ゆっくりと教室の方へ目を向けた。